温暖化の影響で伊勢海老が北上? 九州から関東の伊勢海老水揚げ量を元に検証してみた!
私が水産関係の仕事に就いた2000年代前半のお話……
水温の関係から日本の中で伊勢海老が生息する海域は千葉県が一番北とされていました。
千葉県以外でも九州や四国、また三重県で多くの水揚げがあり、南の伊勢海老を千葉県の業者が買い付けるなんてことも珍しくない時代でありました。
しかしここ数年……
最北端だとされてきた千葉県を更に超えた茨城県で伊勢海老の水揚げが増え、逆に多くの水揚げがあった九州では伊勢海老の水揚げが減ってきています。
このことから水産関係者の中では「海水温の上昇と共に伊勢海老が北上してきているのではないか?」
そんなことが囁かれています。
今回はこの世に蔓延る情報の真実を探るべく、水産庁が発表しているデータを元に検証して参りたいと思います!
伊勢海老水揚げ量増減の検証方法
伊勢海老は千葉県(最近では茨城県)から九州地方まで水揚げがあるのですが、太平洋側にしか生息していないので、約20程度の都道府県でしか水揚げがありません。
九州での水揚げが減って、茨城県でも獲れるようになってきたと言う事象を検証するため、おおまかに4つのグループに分けていきます。
- 九州(長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島)
- 四国(徳島・愛媛・高知)
- 東海~近畿(静岡・三重・和歌山)
- 関東~東北(福島・茨城・千葉・東京・神奈川)
注意1 九州の中でも福岡・佐賀は伊勢海老の水揚げがゼロなので省略しています
注意2 四国の中でも香川は水揚げがゼロなのでこちらも省略しています
注意3 東海から近畿地方はその他、愛知などでも水揚げがありますが、水揚げの多い3県のみでの検証となっています
注意4 水産庁のデータを調べてみたところ、茨城どころか福島でも水揚げがあったので、福島も含めています(早くも前提が崩壊 笑)
このグループ分けに関しましては、私の独断と偏見によって構成されたものです(笑)
全国的にも水揚げが多い都道府県をピックアップしていますので、そこまでトンチンカンな分け方にはなっていないと思うので安心して下さい(多分 笑)
今回の検証の元となるデータは……
を参照にしております。
果たして水産関係者で囁かれている「温暖化と共に伊勢海老が北上している説」は本当なのかを検証して参りましょう♪
伊勢海老の水揚げ量
まずは日本全国の伊勢海老水揚げ数量を確認していきましょう!
出典:政府統計の窓口 e-statを元に筆者が作成
※元となるデータは2003年からの記載となっていますので、今回は2003年以降での検証となります! また2022年5月現在時点では2020年が最新のデータとなっています。
偶然にも一番古い2003年の水揚げが一番多く、最新の2020年が一番少なくなっていますね~。
全体的に右肩下がりのデータとなっており、2003年と2020年とでの比較では3割程度水揚げが減少している事が分かります!
ではグループ毎に細かく見てみましょう♪
まずは第①グループの九州(長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島)
出典:政府統計の窓口 e-statを元に筆者が作成
長崎・宮崎・鹿児島が水揚げの大半を占めていますが、年を追うごとに減少していっていることが分かります!
これは「温暖化と共に伊勢海老が北上している説」、ありそうな気がしてきましたよ~(テンション上がり気味♪)
立証する為には次の四国グループは増えていって頂きたい所ですね~♪(私は何に期待をしてるんでしょうか? 笑)
続いて第②グループの四国(徳島・愛媛・高知)
出典:政府統計の窓口 e-statを元に筆者が作成
愛媛と高知は横ばいから微減といった感じですが、徳島が張り切って成長していっていますね~♪
平均で見るとここ5年は増えてきているので、これは完全に伊勢海老が北上しちゃっていってますね~(徳島頼み感が凄い 笑)
はい、私の欲しい結果に近づいていっていますよ~♪(ワクワク 笑)
そして第③グループの東海~近畿(静岡・三重・和歌山)
出典:政府統計の窓口 e-statを元に筆者が作成
ここで伊勢海老の水揚げ量日本一の三重県の登場となりますが……
これはどう見たらいいんでしょう?(笑)
まあ2020年はコロナが流行し始めた年ですからね! 減っちゃうのはしょうがないでしょう……(こういう偏った見方が世界を歪めていると思う 笑)
冷静に見ますと、これは説立証に向けて暗雲が立ち込めてきましたね。
伊勢海老は近畿から東海をワープして関東へ向かったと信じて……(笑)
最後に第④グループの関東~東北(福島・茨城・千葉・東京・神奈川)
出典:政府統計の窓口 e-statを元に筆者が作成
ノおおおおおおおおおおおおお~(涙)
千葉県と5都県合計がこれ程までにシンクロしていると面白いですね(笑)
やはり我が千葉県は伊勢海老の水揚げ大国ですわな~(わーはっは)
チーン……
話しをすり替えてみましたが、この説は立証出来ず(涙)
そもそもの話しで大変恐縮ではありますが、私が働き始めた頃の情報である「伊勢海老の水揚げは千葉県以南」と言う情報が間違ってますよね!
2003年時点で福島県は12トン水揚げがあるんですもの……
「温暖化と共に伊勢海老が北上している説」の立証は難しくなってきましたが、4グループの割合を見てみれば何か分かるかもと言うことで作ってみました!
出典:政府統計の窓口 e-statを元に筆者が作成
2003年時点の伊勢海老水揚げ量の割合はこんな感じです。
この割合が2020年になるとどうなるんでしょうか?
出典:政府統計の窓口 e-statを元に筆者が作成
【九州】が減って【四国】が増えて、【東海~近畿】も増えて、「あれ、これ伊勢海老北上してるじゃん」と思わせてからの……
【関東~東北】が減少!
惜しい(笑)
【東海~近畿】の水揚げを【関東~東北】に分けてくれれば完璧だったのに……
北上している感じはありますが【東海~近畿】あたりの海水温が心地良いんですかね~?
温暖化は地球規模の問題となっているので、10年後に【関東~東北】の伊勢海老の水揚げ数量が増えて「ほら~やっぱり伊勢海老北上しているじゃーん♪」ってのも、その点では喜べない話しですが、これから先にどうなっていくのかも見て行きたいものですね!
まとめ
- 「温暖化と共に伊勢海老が北上している説」、「北上してるっぽい」ってことで(笑)
- 【九州】と【関東~東北】のみ確実に減少している
- 2021年は三重県の水揚げも減っていると言う話しも聞くので、今後どう変化していくのか?
- 最近思うこと。この世界の人々は自分が都合が良いように解釈して発言する「ポジショントーク」が全てだと理解し始める。
いかがでしたでしょうか?
【関東~東北】の水揚げが増えていれば、綺麗に説が立証出来たのですが、まあ上手くはいきませんでしたね(笑)
でも頭の良い人たちはこんな研究(今回のこんな記事を研究と言ったら怒られてしまいますね 笑)を日々されていて、将来の世界を見据えているんでしょうかね~?
伊勢海老に限らずですが、他の魚種でも同じような事が実際に起きてしまっているので、また他の魚種も調べてみようかと思っていますので、今後ともお付き合い宜しくお願い致します♪