年間水揚げ量日本一を誇る千葉県銚子港! 2022年度も1位の座を死守出来たのか?
近年水産資源の水揚げ量減少に悩む日本。
そんな中、我が千葉県には水揚げ量11年連続でトップを走り続ける銚子港があります!
サバにイワシにアジ、サンマ……
日本には焼津や気仙沼、よく耳にする港がたくさんありますが、銚子港は2021年まで11年連続で年間水揚げ量日本一を誇っております。
数ある港の中でも何故銚子港が日本一に輝けるのか? また直近の2022年も首位の座をキープすることが出来たのか?
今回はデータを元に銚子港の素顔に迫っていきたいと思います!
※2023年2月、2022年度のデータを更新しました
目次
千葉県銚子港
2021年度まで11年連続で年間水揚げ量日本一に輝いている銚子港!
もう色々とお伝えしていきたいことがたくさんありすぎて、何から書こうか迷い過ぎちゃっていますが、まずは場所を確認しておきましょう!
ご覧の通りすぐ北に行けば茨城県、そして何と言っても関東最東端に位置しているのがこの銚子です!
銚子港ではサバ・イワシ・アジ・サンマ・金目鯛・ヒラメなどなど……
年間を通して多品種の魚が水揚げされています!
年間水揚げ量日本一を誇る理由
海産物以外ではそこまで名前を聞く事がない銚子ですが、何故銚子港が日本で一番の座をキープし続けているのか?
それは恵まれた地形にあると言って良いでしょう!
皆さん、親潮と黒潮と言う言葉を覚えてらっしゃいますでしょうか?
まあ私は名前だけは聞いたことがあった(間違いなく習っている 笑)程度だったんですが、千葉県銚子沖はちょうど親潮と黒潮がぶつかり合う場所なんですよね!
親潮は北から流れてくる寒流で、この寒流付近ではサンマや鱈が獲れます。
黒潮は南から流れてくる暖流で、この暖流付近ではマグロやカツオが獲れます。
この2つの海流がぶつかり合う場所が千葉県の銚子沖になります。銚子以外にも三陸で水揚げが多いのもこれが理由になりますね!
対する黒潮は読んで字の如く「海流が青黒く見えるから」と言われています。
これだけでも水揚げが多い理由がお分かり頂けると思いますが、銚子港の水揚げが多い理由としてはここに【利根川】が絡んでくることにあります。
利根川から銚子沖に流れ込んでくる水も栄養をたくさん含んでおり、栄養豊富な場所にはプランクトンが大量に発生します。
そのプランクトンを捕食しに、小さい海老や魚が集まり、その小さい海老や魚を食べに大きな魚が集まってくると言った具合です。
これだけ地形に恵まれている銚子港が水揚げ日本一になるのは必然のことなのかもしれませんね♪
特定第三種漁港
日本全国で2790か所(2020年4月現在)ある漁港ですが、もちろん誰でも好き勝手に造ったり壊したり出来るものではありません。
漁港漁場整備法と言うものがあり色々と細かく決められているのですが、こちらによると
漁港は「天然または人工の漁業根拠地となる水域及び陸域並びに施設の総合体」と定義され、市町村長、知事、大臣がその種類を指定します。
とあります。
種類も……
第1種漁港:利用範囲が地元の漁業を主とするもの。
第2種漁港:利用範囲が第1種より広く、第3種に属さないもの。
第3種漁港:利用範囲が全国的なもの。
第4種漁港:離島や辺地にあって、漁業の開発または避難上必要とされるもの。
こんな感じで分けられています。
これを説明しだしますと、これだけで記事が書けてしまう位になってしまうのですが……
種類に関しましては、第一種が一番上な感じがしますが、この中で一番凄いのは第三種漁港になるんですよね!
まあ第三種漁港は選ばれし漁港とだけ覚えておいて下さい!
この辺りは私もそんなに詳しくないと言うのはここだけの秘密(笑)
この流れからしてお分かりだと思いますが、我が銚子港!! この第三種漁港に選出されているのです!
そんな第三種漁港ですが、全国に2790か所ある港の中でも指定されているのがナント13漁港のみ!
・八戸漁港・・・青森県八戸市
・気仙沼漁港・・宮城県気仙沼市
・石巻漁港・・・宮城県石巻市
・塩釜漁港・・・宮城県塩竃市
・銚子漁港・・・千葉県銚子市
・三崎漁港・・・神奈川県三浦市
・焼津漁港・・・静岡県焼津市
・境漁港・・・・鳥取県境港市
・浜田漁港・・・島根県浜田市
・下関漁港・・・山口県下関市
・博多漁港・・・福岡県福岡市
・長崎漁港・・・長崎県長崎市
・枕崎漁港・・・鹿児島県枕崎市
もうこれだけで銚子港の存在価値がとてつもないものになっていきますね♪
この13漁港で日本全体の魚の水揚げの30-40%程度を占めていると言われていますので、銚子港を含めたこの13漁港はAKBで例えるなら【神13】
ワンピースで例えるなら【13皇】
この世界で例えるなら【G13】
完全に的を射た補足となっていますね!!
ちなみにワンピースは【新世界】を前に離脱した私でございますので、13皇と言う表現が正しいのかはちょっと不安な所です。もっとスゲェヤツとか現れちゃったりしてます(笑)??
しかし冷静に分析しますと神13に宮城県が3つも選ばれており、総合的に宮城県が強そうなのは内緒のハ・ナ・シ♪
総合的にではなく、1つの分野で突き抜けることこそ男の美学でございます!!
最新の年間水揚げ量
はい、では気になる最新の水揚げ量を見て行きましょう!
初めにお伝えしておきますが、最新のデータと言いましても “年間” の水揚げ量になりますので、2022年度が一番直近のデータとなります。この点勘違いをされないように注意して下さい。
数量ベースで見る水揚げ量
では……
出典:みなと新聞データから筆者作成
※こちらは概数・速報値になりますので、数値が変動することがあります。
最新のデータ!! 2022年度も銚子港は……
ぶっちぎりで1位を死守しました~!!
いやー、これはもう千葉県の誇りですね♪
そしてそして、2022年度も1位の座を死守したと言うことは……
12年連続日本一!
前年比では84.2%とかなり落としてしまいましたが、それでも他を寄せ付けない本当に凄い記録を打ち立ててしまいましたね♪
ちなみに前年と比べてみますと……
出典:みなと新聞データから筆者作成
全体的にかなり水揚げを落としている印象を受けますね。
2021年はTOP10に入っていなかった “松浦” の伸び率が気になるところですが、まあまだ我が銚子港に死角はなしです♪(こういう人は数年後ダメになる典型的なパターン 笑)
金額ベースで見る水揚げ量
上記のデータはあくまで「水揚げ量がどれだけ多かったか?」と言うものになるのですが、こちらと併せて確認しておきたいのが、「金額ベース」のデータになりますね。
昨年も発表させて頂いていたのですが、水揚げ量は日本一の銚子港ですが、この金額の部分がちょっと弱いんですよね~……
大分不安ですが、恐る恐る見て行きましょう。
出典:みなと新聞データから筆者作成
※こちらは概数・速報値になりますので、数値が変動することがあります。
キャャ~~! やっぱり……
うーん。敗北……
2021年度と変わらず4位となってしまいました。
こちらも前年と比べてみましょう!
出典:みなと新聞データから筆者作成
水揚げベースでは下がっている港が多かったのですが、金額ベースでは昨対を上回っている港が多い印象ですね♪
特に焼津港は水揚げベースでは77.3%と前年よりかなり下回っているのですが、金額ベースでは111.1%!
経済活動も順調に回復し、水揚げ量が少ないために金額が上昇したってことなんでしょうね!
また枕崎は水揚げベースでも前年比105.5%、金額ベースでも147.7%!
今後の動向を注視しなければ……(汗)
水揚げベースで前年比84.2%、金額ベースで81.8%の我が銚子港……
金額ベースのTOP10のうち、前年比を下回っているのは銚子港と根室港だけなので、ちょっと厳しい状況になっていますね。
水揚げ量のランキングでは上位に入っていない漁港があるのは、やはり単価の高いマグロやカツオ、カニなんかが多く水揚げされていることが大きな要因ですね!
1位の焼津港は……
出典:焼津港HPより筆者作成
カツオやマグロ類などの高単価な魚種が水揚げのほとんどを占めていますね!
うーん、羨ましい(笑)
いやっ、でも銚子港は金額なんかで勝負はしてませんので!
男はやっぱりいっぱい獲ったもんが強いじゃろ~!!
……(涙)
銚子港の水揚げ状況
では何故、水揚げ量日本一の銚子港が金額ベースに直すと4位になってしまうのか?
焼津港のデータでも触れましたが、ここはやはり魚種が重要なポイントになってきます。
では銚子港の内訳も確認していきましょう!
全国の主要港水揚げ・焼津港のデータにつきましては2022年度のものとなっていますが、今から発表致します銚子港のデータは2021年度のものになります。
毎年データを更新している中で、今年は銚子港の更新が遅いんですよね……
水揚げ金額が4位だからと言って、水揚げ数量は堂々の12年連続1位なんだから、恥ずかしがらなくてもいいんですけどね~(絶対違う)
出典:銚子港データより筆者作成
こちらは銚子港で水揚げされた魚種別の水揚げ数量の割合になります。
マイワシが56.5%、サバが35.9%! 銚子港の水揚げはマイワシとサバで92.4%を占めています!
数年前はイワシが1匹1,000円なんてニュースを目にした気がしますが、やはりイワシは非常にリーズナブルな魚ですからね。
先程と同様に金額ベースでも見ていきましょう!
出典:銚子港データより筆者作成
イワシが一番水揚げされているのに、金額ベースではサバに抜かれ……
でもこれだけ見ますと「サバだけで110億円以上もあるから凄いじゃない!」と思うと思いますが……
1kg当たりの単価で見てみると驚愕の事実が浮かび上がってきます。
出典:銚子港データより筆者作成
もっとイワシが高かったら……
もっとマグロや金目鯛が獲れれば……
私も魚を取り扱っているので、ある程度は認識をしていたつもりですが、こんな数字を目にするとは思ってもいませんでした。
水揚げ数量は日本で一番多いのに、魚価は平均で97円……
まいわしなんか48円ですよ? これ1尾の価格じゃないですからね! 1kgで48円ですよ?
ちなみに比較する年は違いますが、焼津港はこんな感じ!
出典:焼津港HPより筆者作成
銚子港と比較すると全体的に平均単価が高いですね~!
魚の単価が同じだと仮定して、銚子港が金額ベースでも1位になるには焼津港の4.4倍以上水揚げがないと勝てない計算になります……
絶望的……
もう金額ベースで1位を狙うことは諦めましょう(笑)
近年のイワシ・サバの水揚げ数量
2021年度はサバとイワシまみれとなっている銚子港ですが、2014年度からのそれぞれの水揚げも見ておきましょう!
出典:銚子港データより筆者作成
出典:銚子港データより筆者作成
まいわしが伸びているのは良いことであると思いますが、まいわしより単価が良いサバは減少傾向……
最近だと鯖缶の値上げなんてニュースも聞きますので、水揚げ量は更に減っていってしまうんでしょうね。
ちなみに以前はかなり水揚げのあったさんまなんて悲惨なものですよ……
出典:銚子港データより筆者作成
2019年までは何とか持ちこたえていたものの、2021年なんてもうメモリがほぼない……
マイワシやサバがサンマのような水揚げになってしまったら……
12年連続水揚げ量日本一と浮かれている私ですが、中々厳しい未来が待っていそうですね。
これは銚子港だけに限った話ではないんですが、もう少し日本全体、いやっ地球全体で考えていかないといけない問題ですよね。
今後もどう変化していくのか不透明な水産業ですが、1つ言えることは……
12年連続年間水揚げ量日本一の銚子港は素晴らしい♪
銚子の美味しいイワシをいっぱい食べてくださーい!(切実)
まとめ
- 銚子港は神13
- 銚子港は年間水揚げ量日本一を今年も死守
- 金額ベースでは焼津港に敗北
- 銚子港の90%以上はサバとイワシの水揚げ
いかがでしたでしょうか? こうやって数字で見て行くと細かい考察が出来て楽しいですね!
ホントは水揚げ数量だけを発表して、金額ベースの数量は差し控えさせて頂こうと考えておりましたが……(笑)
銚子港が毎年1番に輝いてくれるのは本当に嬉しい気持ちでいっぱいですが、その反面世界を見ても海産物の水揚げ数量は減少傾向にあります。
廃棄される魚も少なくない中、食べきれる分だけを獲り感謝をしながら命を頂戴する……
そんな気持ちをもって進んでいってほしいものですね♪