年間水揚げ量で惜しくも2位に転じた千葉県銚子港! 2024年度は1位奪還なるか?
近年水産資源の水揚げ量減少に悩む日本。
サバにイワシにアジ、サンマ……
昔は気軽に食べられた魚もいつの間にか手の届きにくい存在へとなりつつありますよね?
そんな中、我が千葉県には2022年まで水揚げ量12年連続でトップを走り続けた銚子港があるんです!
2023年は惜しくも2位に転じてしまった銚子港でしたが、2024年は首位を奪還することが出来たのか?
今回はデータを元に銚子港の素顔に迫っていきたいと思います!
※2025年2月、2024年度のデータを更新しました
目次
千葉県銚子港
2022年度まで12年連続で年間水揚げ量日本一に輝いている銚子港!
もう色々とお伝えしていきたいことがたくさんありすぎて、何から書こうか迷い過ぎちゃっていますが、まずは場所を確認しておきましょう!
ご覧の通りすぐ北に行けば茨城県、そして何と言っても関東最東端に位置しているのがこの銚子です!
銚子港ではサバ・イワシ・アジ・サンマ・金目鯛・ヒラメなどなど……
年間を通して多品種の魚が水揚げされています!
年間水揚げ量日本一を誇る理由
海産物以外ではそこまで名前を聞く事がない銚子ですが、何故銚子港が日本で一番の座をキープし続けているのか?
それは恵まれた地形にあると言って良いでしょう!
皆さん、親潮と黒潮と言う言葉を覚えてらっしゃいますでしょうか?
まあ私は名前だけは聞いたことがあった(間違いなく習っている 笑)程度だったんですが、千葉県銚子沖はちょうど親潮と黒潮がぶつかり合う場所なんですよね!
親潮は北から流れてくる寒流で、この寒流付近ではサンマや鱈が獲れます。
黒潮は南から流れてくる暖流で、この暖流付近ではマグロやカツオが獲れます。
この2つの海流がぶつかり合う場所が千葉県の銚子沖になります。銚子以外にも三陸で水揚げが多いのもこれが理由になりますね!

対する黒潮は読んで字の如く「海流が青黒く見えるから」と言われています。
これだけでも水揚げが多い理由がお分かり頂けると思いますが、銚子港の水揚げが多い理由としてはここに【利根川】が絡んでくることにあります。
利根川から銚子沖に流れ込んでくる水も栄養をたくさん含んでおり、栄養豊富な場所にはプランクトンが大量に発生します。
そのプランクトンを捕食しに、小さい海老や魚が集まり、その小さい海老や魚を食べに大きな魚が集まってくると言った具合です。
これだけ地形に恵まれている銚子港が水揚げ日本一になるのは必然のことなのかもしれませんね♪
特定第三種漁港
日本全国で2790か所(2020年4月現在)ある漁港ですが、もちろん誰でも好き勝手に造ったり壊したり出来るものではありません。
漁港漁場整備法と言うものがあり色々と細かく決められているのですが、こちらによると
漁港は「天然または人工の漁業根拠地となる水域及び陸域並びに施設の総合体」と定義され、市町村長、知事、大臣がその種類を指定します。
とあります。
種類も……
第1種漁港:利用範囲が地元の漁業を主とするもの。
第2種漁港:利用範囲が第1種より広く、第3種に属さないもの。
第3種漁港:利用範囲が全国的なもの。
第4種漁港:離島や辺地にあって、漁業の開発または避難上必要とされるもの。
こんな感じで分けられています。
これを説明しだしますと、これだけで記事が書けてしまう位になってしまうのですが……
種類に関しましては、第一種が一番上な感じがしますが、この中で一番凄いのは第三種漁港になるんですよね!
まあ第三種漁港は選ばれし漁港とだけ覚えておいて下さい!
この辺りは私もそんなに詳しくないと言うのはここだけの秘密(笑)
この流れからしてお分かりだと思いますが、我が銚子港!! この第三種漁港に選出されているのです!
そんな第三種漁港ですが、全国に2790か所ある港の中でも指定されているのがナント13漁港のみ!
・八戸漁港・・・青森県八戸市
・気仙沼漁港・・宮城県気仙沼市
・石巻漁港・・・宮城県石巻市
・塩釜漁港・・・宮城県塩竃市
・銚子漁港・・・千葉県銚子市
・三崎漁港・・・神奈川県三浦市
・焼津漁港・・・静岡県焼津市
・境漁港・・・・鳥取県境港市
・浜田漁港・・・島根県浜田市
・下関漁港・・・山口県下関市
・博多漁港・・・福岡県福岡市
・長崎漁港・・・長崎県長崎市
・枕崎漁港・・・鹿児島県枕崎市
もうこれだけで銚子港の存在価値がとてつもないものになっていきますね♪
この13漁港で日本全体の魚の水揚げの30-40%程度を占めていると言われていますので、銚子港を含めたこの13漁港はAKBで例えるなら【神13】
ワンピースで例えるなら【13皇】
この世界で例えるなら【G13】
完全に的を射た補足となっていますね!!
ちなみにワンピースは【新世界】を前に離脱した私でございますので、13皇と言う表現が正しいのかはちょっと不安な所です。もっとスゲェヤツとか現れちゃったりしてます(笑)??
しかし冷静に分析しますと神13に宮城県が3つも選ばれており、総合的に宮城県が強そうなのは内緒のハ・ナ・シ♪
総合的にではなく、1つの分野で突き抜けることこそ男の美学でございます!!
最新の年間水揚げ量
はい、では気になる最新の水揚げ量を見て行きましょう!
初めにお伝えしておきますが、最新のデータと言いましても “年間” の水揚げ量になりますので、2024年度が一番直近のデータとなります。この点勘違いをされないように注意して下さい。
数量ベースで見る水揚げ量
では……
出典:みなと新聞データから筆者作成
※こちらは概数・速報値になりますので、数値が変動することがあります。
イヤァァー、昨年に続き惜しくも2位……
2023年度も1位釧路・2位銚子でその差は451トンだったのですが、今年は27,111トンとかなりの差をつけられてしまいましたね。
残念・無念……
2022年までは12年連続で1位を誇っていた我が銚子港ですが、その後は2年連続で2位。
ちなみに前年と比べてみますと……
出典:みなと新聞データから筆者作成
2023年、2024年と上位5漁港の顔ぶれは変わってはいないのですが、上位2漁港はかなり水揚げを落としている印象を受けますね。
こうなってきますと1位奪還とか言っている場合でもなくなってきて、3位転落すらも現実的に見えてきちゃいますよね……
金額ベースで見る水揚げ量
上記のデータはあくまで「水揚げ量がどれだけ多かったか?」と言うものになるのですが、こちらと併せて確認しておきたいのが、「金額ベース」のデータになりますね。
毎年発表させて頂いておりますが、水揚げ量では上位にランクする銚子港においてこの金額の部分はちょっと弱いんですよね~……
大分不安ですが、恐る恐る見て行きましょう。
出典:みなと新聞データから筆者作成
※こちらは概数・速報値になりますので、数値が変動することがあります。
キャャ~~! やっぱり……
今年は5位以内にも入ることが出来ず……
何か色々と雲行きが怪しくなってきてますよね。
一応こちらも前年と比べてみましょう!
出典:みなと新聞データから筆者作成
2023年は金額ベースでも4位には入っていたんですけどね……
この金額ベースのランキングにおいて、どこも前年比を下回っているんですよね。
全国的にも今後の動向を注視しなければ……(汗)
水揚げベースで前年比72%、金額ベースで71%の我が銚子港……
“12年連続水揚げ日本一” と叫んでいた2022年が懐かしい(涙)
あとここまでのランキングで不思議に思うことは、
「なんで水揚げ量のランキングでは上位に入っていない漁港が金額ベースでは上位に来るの?」
ってことだと思うんですよ。
原因としては、やはり単価の高いマグロやカツオ、カニなんかが多く水揚げされていることが大きな要因になってくるんですよね!
博多港は詳細なデータを発表していないので、何とも言えないのですが、真鯛が多く獲れているようなんですよね。
逆に水揚げ量1位の釧路港が金額ベースではさっぱりなのは、水揚げの約8割をイワシが占めているからになります。
この辺りは場所によって全く異なってくるので、非常に興味深いところでもありますよね♪
銚子港の水揚げ状況
残念ながら悔しい結果となってしまった銚子港ですが、ここからは銚子港の詳しいデータをみていきましょう!
まずは水揚げされる魚種別の水揚げ割合からです!
出典:銚子港データより筆者作成
マイワシが82.4%、カタクチイワシが5.3%! 銚子港の水揚げはマイワシとカタクチイワシで9割弱を占めています!
完全に釧路と同じパターンでございます(涙)
数年前はイワシが1匹1,000円なんてニュースを目にした気がしますが、やはりイワシは非常にリーズナブルな魚ですからね。
先程と同様に金額ベースでも見ていきましょう!
出典:銚子港データより筆者作成
マイワシとカタクチイワシがほとんどなので、これを見てもあんまりピンと来るようなデータではないですが……
もっと細かく見てみると驚愕の事実が浮かび上がってきます。
出典:銚子港データより筆者作成
※下三段の “全合計数量・金額” は、上の8魚種以外も含めた銚子港で水揚げされた全ての魚種の合計となっています。
もっとイワシが高かったら……
もっとマグロや金目鯛が獲れれば……
こんな数字を目にするとは思ってもいませんでした。
水揚げ数量は日本で2番目に多いのに、魚価が平均で132円ともなればね……
マイワシなんか92円ですよ? これ1尾の価格じゃないですからね! 1kgで92円ですよ?
ちなみに比較する年は違いますが、焼津港はこんな感じ!
出典:焼津港HPより筆者作成
銚子港と比較すると全体的に平均単価が高いですね~!
ホント獲れる魚によって、ここまで違いが出てくることをお分かり頂けたかと思います。
近年のイワシ・サバの水揚げ数量
イワシまみれとなっている銚子港ですが、2014年度からの主要魚種の水揚げも見ておきましょう!
出典:銚子港データより筆者作成
イワシは多いように見えて、2022年から下がっているんですよね~。
出典:銚子港データより筆者作成
このサバのデータはちょっと衝撃的ですよね……
サバはイワシより単価が高く、今よりも獲れていた時は金額ベースの底上げをしてくれていたのですがね。
最近だと鯖缶の値上げなんてニュースも聞きますので、水揚げ量は更に減っていってしまうんでしょうね。
ちなみに以前はかなり水揚げのあったさんまなんて悲惨なものですよ……
出典:銚子港データより筆者作成
2019年までは何とか持ちこたえていたものの、2021年以降なんてもうメモリがほぼない……
マイワシがサバやサンマのような水揚げになってしまったら……
12年連続水揚げ量日本一と浮かれていた私ですが、中々厳しい未来が待っていそうですね。
これは銚子港だけに限った話ではないんですが、もう少し日本全体、いやっ地球全体で考えていかないといけない問題ですよね。
今後もどう変化していくのか不透明な水産業ですが、1つ言えることは……
来年こそ1位奪還や~♪
銚子の美味しいイワシをいっぱい食べてくださーい!(切実)
まとめ
- 銚子港は神13
- 銚子港は年間水揚量今年も残念ながら2位
- 金額ベースでは大敗北
- 銚子港の90%以上はサバとイワシの水揚げ
いかがでしたでしょうか? こうやって数字で見て行くと細かい考察が出来て楽しいですね!
銚子港がなんとか2位に輝いてくれるのは本当に嬉しい気持ちでいっぱいですが、その反面世界を見ても海産物の水揚げ数量は減少傾向にあります。
廃棄される魚も少なくない中、食べきれる分だけを獲り感謝をしながら命を頂戴する……
そんな気持ちをもって進んでいってほしいものですね♪