そのハマグリってどこの国のもの? 産地を調べてみて分かった国産ハマグリの割合とは……
皆さん、ハマグリは食べていますか?
私は千葉県で少しばかり水産をかじった仕事をしておりますので、ある程度はハマグリが身近にあるのですが、普段ハマグリなんて食べたりはしないですよね。
ハマグリと言いますと、一番身近に感じられるのは節句の時期になりますかね?
しかし節句の時期に並ぶハマグリと言えば、大半が中国などの輸入品!
今回はあまり知られていない、ハマグリの産地に迫っていきたいと思います。
日本国内で流通しているハマグリ
日本国内で流通しているハマグリのおおよそ90%は海外からの輸入品となっています。
スーパーなどでハマグリを見てみると、大体が中国になっていますかね?
ではその国内で流通しているハマグリの90%は具体的にどこの国から来ているものなのかグラフを確認していきましょう!
出典:農水省データから筆者が作成
※2位と3位の順位が逆なような気がしますが、こちらは金額ベースでのデータになります。
こちらは2020年度のデータになりますが、総量で約2,200トンものハマグリが輸入されています。
そして各国の数量を確認しますと、もう圧倒的中国!(あまり日本語の意味がわかりませんが 笑)
2020年以前のデータも見てみたのですが、もう2位3位に入れ替わりはあれど、全てこんな感じになっているので敢えて作りませんでした(笑)
まあ国内で流通しているハマグリの10%程度しか国産のものがないってことは、基本スーパーなどに並べられているハマグリが中国産になってしまうのも当たり前ですね!
金額的にも計算してみますと、1kgあたり436円となり、国産の3分の1? 4分の1? 、はたまたそれ以上の差があると思うので、まあしょうがないことですね。
国産ハマグリの産地
ではそんな希少価値の高い国産のハマグリは具体的にどこで水揚げがあるのでしょうか?
主な産地は下記の4県になります。
- 茨城県
- 千葉県
- 三重県
- 熊本県
こちらの4県で水揚げされるハマグリが流通量残りの10%を占めているんですよね!
国産のハマグリと言いましても、厳密に言いますと種類が異なってきます。
茨城県や千葉県で水揚げされるハマグリはチョウセンハマグリと言われ、太平洋沿岸で獲れる外洋性になっています。
対して三重県、熊本県で水揚げされるハマグリは淡水と海水が混ざる汽水域に生息しています。
昔は三重県や熊本県で水揚げされるハマグリがかなりの量を占めていたのですが、海岸線の開発や汚染などの影響で激減してしまい、今ではかなり少なくなっています。
茨城県や千葉県で水揚げされるハマグリはチョウセンハマグリとなっていることから、朝鮮などをイメージしてしまいますが、正しくは汀線と書き、純粋な国産もののハマグリとなります。
ちなみに、先ほど説明をし忘れてしまいましたが、中国産のハマグリはシナハマグリと呼ばれ、産地も品種も国産のものとは異なります。
千葉県産のハマグリ
ここ数年では、国内流通量10%の中でもほとんどと言っても良いほどの割合を占めている千葉県産のハマグリですが、ここまで流通量が増えてきたのは実はここ10年位なんですよね。
こちらの資料をご覧ください!
2012年以降は年間1,000トン単位の水揚げがある千葉県産のハマグリですが、グラフの通りそれ以前はそこまで多くはない水揚げ量なんですよね!
では何故2012年以降に急激に増えてきたのか?
それは、真相は分かっていないものの、2011年の東日本大震災が関係していると言われています。
ハマグリは多少の移動はするものの、基本的には同じ海域で育ち、移動すると言っても潮の流れで流されると言った程度のものです。(まあ潮の流れも相当なものですが……)
この年を境に地形が変わってしまったのか? 潮の流れで流されてきてしまったのか?
理由は判明していないのですが、2012年から千葉県でも多くのハマグリが水揚げされるようになってきたんですよね!
まとめ
- 日本国内で流通しているハマグリの9割は海外からの輸入品
- 海外からの輸入品と言うより、ほぼ中国からの輸入品
- 国産のハマグリでもチョウセンハマグリとハマグリがある
- 千葉県産のハマグリの水揚げ量はここ10年程度で急激に増加
いかがでしたでしょうか?
千葉県外房にある九十九里浜沿いの道は、今ではハマグリの網焼き屋さんが名物となっているほど、千葉県に定着しているハマグリですが、こうやって調べていきますと不思議なもんですよね!
海のものに限らず、生物はちょっとした変化があっただけでも、絶滅してしまったり減少してしまいます。
昔からの名物がある地域でも、今では全く水揚げが無くなってしまったりして、他の産地のものを使っているなんてことも珍しくはないですからね。
このハマグリが将来どういったことになっていくのかは分かりませんが、目先のことだけではなく、将来のことも考えていかなければならないなぁ~なんて、ふと考えさせられてしまいました。